長年街の建具店で網戸の修理や張り替えを専門に行ってきたいわゆる職人の視点から一般の方が陥りやすい取り外しの失敗例とその対策についてお話ししますが、私たちが現場に呼ばれる原因の多くは網戸がレールから外れなくなった際無理にこじ開けようとして枠を歪めてしまったというものです。アルミ製の枠は軽量で扱いやすい反面で局所的な強い力には弱く一度曲がってしまうとプロの手でも完全に戻すのは至難の業ですが、私たちが最初に行うのは力で解決することではなくなぜ外れないのかという原因の特定でありそのほとんどは外れ止めの固着かあるいは住宅の重みによるサッシの沈み込みにあります。外れ止めのネジが錆びて回らない場合は無理に回してネジ山を潰さないことが肝要であり潤滑剤を浸透させて時間を置くかショックドライバーという特殊な工具を使って軽い衝撃を与えることで解決します。また建物が数ミリ沈み込んで鴨居や敷居を圧迫している場合網戸が完全に上下に挟まってしまっていることがありますが、この場合私たちは専用のジャッキを使ってサッシ枠をわずかに広げる手法を取りますが一般の方であれば家族にサッシの上枠を中央付近で上に押し上げてもらいながら同時に網戸を外すという連携プレーが非常に効果的です。また職人として強調したいのは戸車を壊さないことであり、取り外しの際に下のレールから強引に引き抜こうとすると戸車の芯が折れたりレールを傷つけたりするため網戸を垂直に持ち上げ戸車が完全に浮いたことを確認してから手前に引くという一瞬の動作の丁寧さがその後の修理コストを大きく左右します。網戸を外した後はぜひ枠の四隅にあるネジを増し締めしてください。長年の振動でここが緩んでいるとせっかく網を張り替えてもピンと張らず取り付けた際に再び全体の歪みが生じてしまいます。網戸の取り外しは単なる工程の一つではなく建物の健康状態を把握する対話のようなものであり、職人が道具を大切に扱うように一般の方もサッシの声に耳を傾け無理のない操作を心がけることが最も確実で美しい仕上がりへの近道となるのです。日頃の開閉時に違和感を感じたら無理をせず早めに点検することが重要です。
網戸修理の職人が伝授する外れない時の対処法と秘訣