両親が大切に守ってきた築45年の実家を相続したとき、私は建て替えるべきかリフォームすべきか激しく悩みました。柱には子供の頃の背比べの跡があり、庭の木々には家族の思い出が詰まっています。しかし、家の中は冬になると外気と変わらないほど冷え込み、床はあちこちできしみ、水回りの設備も時代遅れでした。プロの診断を仰いだところ、基礎がしっかりしているため大規模な改修を行えばあと三十年は安心して住めると太鼓判を押され、私はこの家を再生させる道を選びました。工事が始まると、壁を剥がした中から予想外のシロアリ被害が見つかるなど、古い家ならではの試練もありましたが、職人さんたちが一つひとつ丁寧に対処していく様子を見て、家が息を吹き返していくのを感じました。今回特にこだわったのは、一階部分の完全なバリアフリー化と、家全体の高断熱化です。全ての窓に二重サッシを取り付け、床下には厚い断熱材を敷き詰めました。完成した家に住み始めて驚いたのは、以前のような凍えるような寒さが一切なくなったことです。エアコン一台で家中の温度が一定に保たれ、これまでの不便が嘘のように快適な生活が始まりました。見た目は最新の住宅と見紛うほどモダンになりましたが、リビングの天井には以前の太い梁をあえて露出させて残しました。新旧が融合した空間で過ごす時間は、新築の家では決して味わえない深い安らぎを私に与えてくれます。費用は一千万円を超えましたが、建て替え費用の半分以下でこれほどの満足感を得られたのは大きな成功でした。築45年という古さを欠点と捉えるのではなく、歴史という付加価値として楽しむ心の余裕が、豊かな暮らしを創り出すのだと実感しています。この家と共に、私自身の新しい人生の後半戦を歩んでいけることを誇らしく思っています。この事例が証明しているのは、築45年という数字はリフォームを諦める理由にはならないということです。むしろ、既存の構造を活かすことでコストを抑えつつ、オーダーメイドのような理想の住空間を実現できる絶好の機会と言えます。
実家をリノベーションして終の棲家にした私の記録