これまで私たちは、「リフォーム」と「リノベーション」の違いを、目的や規模、費用といった様々な観点から比較してきました。老朽化したものを元の状態に戻すリフォームと、新しい価値を付け加えるリノベーション。この二つの概念は、単なる工事のスケールの違いに留まらず、私たちの住まいや、ひいては社会に対する、より深い哲学的な姿勢の違いをも映し出しています。特に、環境問題や資源の枯渇が深刻な課題となっている現代において、「リノベーション」という考え方は、未来の住まい方を考える上で、非常に重要な意味を持っているのです。かつての日本では、住宅の寿命は欧米に比べて短く、「家は消耗品であり、古くなったら壊して新しいものを建てる」という、いわゆる「スクラップ&ビルド」の考え方が主流でした。しかし、このサイクルは、大量の建築廃棄物を生み出し、新たな建設のために多くの資源を消費し続けるという点で、環境に大きな負荷をかけてきました。また、長年地域に親しまれてきた建物や、家族の思い出が詰まった家を安易に取り壊すことは、文化的な損失にも繋がりかねません。これに対し、リノベーションは、「今あるものを活かし、新しい命を吹き込む」という、ストック活用型の思想に基づいています。良質な構造を持つ古い建物の骨格(ストック)はそのままに、現代の技術とデザインによって、その性能と価値を再生・向上させる。これは、環境負荷を低減し、既存の社会資本を賢く、そして長く使い続けるという、サステナブル(持続可能)な社会の実現に直結するアプローチです。部分的な修繕を繰り返すリフォームも、もちろん建物の延命に貢献します。しかし、リノベーションはさらに一歩踏み込み、未来の社会や暮らしを見据えた価値を創造します。例えば、壁や窓の断熱性能を大幅に向上させるリノベーションを行えば、冷暖房効率が劇的に改善し、日々のエネルギー消費量を大幅に削減することができます。
未来を見据えた選択でサステナブルな時代の住まいづくり