住宅の寿命について論じる際、多くの人が壁紙やキッチンの汚れといった表面的な劣化に目を奪われがちですが、真の耐久性は目に見えない骨組みと配管の状態に依存します。築45年の家があと何年住めるかを考える上で、まず着目すべきは木材の乾燥状態です。適切に管理された木造住宅の柱は、数十年を経てさらに強度を増すことさえあります。しかし、その大前提となるのが水漏れの防止です。築45年頃の住宅では、当時の給湯管に使われていた銅管や、給水管の鋼管にピンホールと呼ばれる微細な穴が開くリスクが高まっています。壁の中でゆっくりと進む水漏れは、柱を腐らせ、カビを発生させ、建物の寿命を内側から食い潰します。そのため、リフォームの際には全ての配管を交換し、同時に排水管の清掃と点検を行うことが長寿命化の第一条件となります。基礎についても同様です。この年代の家は無筋コンクリートの布基礎であることが多いですが、ひび割れから雨水が浸入して中性化が進むと、強度が低下します。エポキシ樹脂によるひび割れ補修や、基礎の増し打ちといった対策を講じることで、建物の足元を再び強固にすることができます。さらに、小屋裏や壁体内の換気状況も見逃せません。空気が滞留すると内部結露が発生し、木材を湿らせてしまいます。最新のリフォーム技術では、通気層を確保した外壁の張り替えや、屋根裏換気の強化を行うことで、木材を常に乾燥した状態に保つことが可能です。このように、物理的な寿命を左右する要因はすべてコントロール可能なものです。築45年という節目に、これらの構造的な欠陥をリセットするリフォームを行えば、建物の時計の針を三十年単位で巻き戻すことができます。家を単なる消費財と考えるのではなく、手入れによって寿命を伸ばせる持続可能な資産と捉えることで、住まいとの付き合い方は劇的に変わります。確かな技術に基づいたメンテナンスこそが、建物の限界を突破する唯一の手段なのです。