賃貸物件のフローリングについてしまった傷。退去時に「これは補修で済むのか、それとも全面張替えになってしまうのか」と不安に思う方は多いでしょう。この「補修」と「全面張替え」の境界線は、一体どこにあるのでしょうか。その判断は、傷の「種類」「深さ」「範囲」そして「場所」によって総合的に下されます。まず、DIYや部分的な補修で対応可能なのは、比較的「軽微な傷」です。例えば、物を落としてできた小さな凹み傷や、家具を引きずってしまった際の浅い線状の傷などです。これらの傷は、市販の補修クレヨンやパテを使って埋めたり、同系色のペンで着色したりすることで、ある程度目立たなくすることが可能です。傷の範囲が狭く、フローリングの表面層に留まっているものが、補修で済むかどうかのひとつの目安となります。一方、「全面張替え」が必要と判断されるのは、どのようなケースでしょうか。最も分かりやすいのが、広範囲にわたる深い傷や、多数の傷が散らばっている場合です。例えば、キャスター付きの椅子によって広範囲がささくれ立ってしまったり、ペットが部屋のあちこちで深い引っかき傷をつけたりした場合、部分的な補修では対応しきれず、全体の美観を著しく損なうため、全面張替えとなる可能性が高くなります。また、水漏れなどを放置した結果、広範囲にわたってフローリングが黒ずんだり、腐食したり、あるいは浮き上がってしまったりした場合も、下地への影響も考えられるため、全面張替えは避けられません。さらに、傷の「場所」も重要です。部屋の中央など、どうしても目立つ場所にある深い傷は、部分補修ではかえって不自然に見えてしまうため、全面張替えと判断されることがあります。最終的な判断は大家さんや管理会社に委ねられますが、この境界線を理解しておくことは、日々の生活で床を大切に扱おうという意識にも繋がります。もし傷をつけてしまったら、放置せず、早い段階で管理会社に相談することが、問題を最小限に食い止める鍵となります。
フローリングの傷「補修」と「全面張替え」その境界線はどこ?