日本の住宅で最も一般的なのは、二枚の窓が左右にスライドする「引き違い窓」ですが、住宅のデザインが多様化する中で、様々な形状の窓が採用されるようになりました。例えば、外側に押し出すように開く「滑り出し窓」や、上下にスライドさせて開閉する「上げ下げ窓」、あるいは内側に倒して開ける「内倒し窓」などです。これらの特殊な窓にも、もちろん網戸を取り付けることは可能ですが、その形状や取り替え方法は引き違い窓とは大きく異なります。引き違い窓の場合、網戸は窓の外側のレールに取り付けられます。しかし、外側に開く滑り出し窓などでは、外に網戸を設置するスペースがありません。そのため、これらの窓には、室内側に取り付けるタイプの特殊な網戸が用いられます。その代表格が、「ロール式網戸(ロール網戸)」と「アコーディオン式網戸(プリーツ網戸)」です。ロール式網戸は、使わないときには網がケースの中に巻き取られて収納される、いわば網戸版のロールスクリーンのようなものです。窓枠の上下または左右に取り付けたレールに沿って網を引き出して使います。非常にすっきりとした見た目で、窓からの眺めを邪魔しないのが大きなメリットです。アコーディオン式網戸は、その名の通り、網がアコーディオンのように折りたたまれて収納されるタイプです。こちらも省スペースで、玄関ドアなどにもよく利用されます。これらの特殊な網戸を取り替える場合、引き違い窓の網戸に比べて難易度は格段に上がります。製品ごとに取り付け方法が異なり、窓枠への正確な採寸と、水平・垂直をきちんと出した上での設置が求められるため、DIYで行うのはかなり困難です。基本的には、専門の業者に依頼するのが最も確実で安心な方法と言えるでしょう。どんな形状の窓でも、適切な製品を選び、正しい方法で取り替えを行えば、快適な網戸のある暮らしを実現できます。まずは自宅の窓の種類を確認し、それに適合する網戸にはどんな選択肢があるのかを調べてみることが第一歩です。